2010/11/06

荻上氏×猪熊氏「待機児童問題について考える」対談

TBSラジオDIG:荻上氏×猪熊氏「待機児童問題について考える」対談メモ:


待機児童問題の始まりは約15年前に遡る。
バブルの時期は男性がガンガン稼ぎ、女性は家で子供の世話をしていたため、「この調子なら、今後保育所の需要は減るだろう」と甘い考えを持った国が政策を見誤ったことが大きな原因として考えられる。
しかし今は当時のバブルを想像することすらできないほどの不況。女性も働かざるを得ない状況の中、子供を作りたくても経済面で将来は不安だし、その上子供を育てる環境も全く整っていない。



保活(保育所探し活動)という言葉が流行っている。
そもそもの話ではあるが、児童福祉法に基づくと、保育所に入れない子供がいること自体が違法


●民主党は「こども園」改革を進めている。内容は…
→「幼稚園、保育所、認定こども園という枠を全部取り払って一緒にして、こども園になれ」
→「子供に関係するお金を全て一つにまとめよう」
→「今は幼稚園が文部科学省、保育所が厚生労働省の管轄だが、新たにこども家庭省を作り、こども指針を作成し、こども士のような資格を作ろう」
というモノ。
この改革は大きく4つの目的があるが、そのうちの3つは就労と両立支援である。
要は子供をどう育てていこうか、という視点ではない。だがこれは国策であるべきだ。20年後に日本で育った子供たちがどういう風に国を支えていくのかをグランドデザインすることが必要なのに。

「20年後の日本は少子高齢化で労働人口が減る。社会を見渡してみると、子供のいる女性だけが働いていない。そこだけが労働力として唯一ある。その人たちをうまく働かせるためにはどうしたらいいか…。なら手っ取り早く子供を預けられる場所を金をかけずに作りましょう」

…というようなことを考えていたら出来たのが、この制度ではないか。
それを、来年の一月までに決めようとしている。


子供の方から見るか、経済の方から見るか。
国は経済の方から見ている。OECDの中で日本は子供にかけるお金がずば抜けて低い。税収効果も低い。お金をもっとかけないとダメ。

※ちなみに11月5日、毎日新聞からこのような記事が:

「こども園」調整多難 現場、一体化に「反対」

この記事を読めば、民主党の掲げる「こども園一体化構想」が問題点だらけであることが一目瞭然です。



スウェーデンの子育て支援に関するメモ:
Sweden- Early YearsKindergarten for Babiesを参考)

●スウェーデンでは、子供は1歳から保育所に通うことができる(小学校に入学するまで)。
●保育所に通った子供は、通わなかった子供に比べて大学への進学率が2倍高い
●政府のオープンマインドな政策の結果ベビーブームが起こり、ここ10年でストックホルム市内に保育所を約3万施設新設。

●子供を家庭内で育てるよりも、早い時期から保育所に入れて、他の子たちと会話をしたり共同作業をするなどのソーシャルスキルを高めることが大事だというスタンス。また、基本的に小学校に入学するまでは、読み書きよりも遊びを通して学ぶことに焦点を当てている。

●移民などの低所得者層が多い地域においては政府がより手厚く資金援助をするシステム。




勝手に私の意見:


こんな偏った情報では当然日本とスウェーデンをまともに比較することはできないし、そもそも歴史とか文化とか諸々の要因を考慮すると尚更比較なんて無意味だけど、単純に考えてもし子供を育てるとしたら、スウェーデンのような環境で育てたい、と思ってしまう。

地域によって割合はもちろん異なるものの、移民の子供も混ざっていれば幼い頃から異文化交流ができるという環境は重要だと思うし、ストックホルムのような都市でも自然と触れ合う機会が沢山あるのは魅力的。また、親は基本的に帰宅時間が早いので子供と過ごす時間も十分確保出来るし、休暇もちゃんと取得できる。紹介した上記のビデオはどちらもスウェーデン教育のポジティブな面しか取り上げていないので、語られていない問題点は色々あるのかもしれないけど、登場する先生や親の話を聞いていると子供の将来に妙に希望を持ちたくなる。

その反面、日本はどうなんでしょう。
今の民主党を見ていると、そしてポッドキャストを聴いていると、支持率を上げるため、政権交代の成果を見せるために待機児童問題に早急に取り組もうとしてるんじゃないかと国民に疑われても仕方がないような。日本の将来に希望を感じることができないのは私だけでしょうか。
猪熊氏が言っていたように、子供の方から見るか、経済の方から見るか。
子供の方から見ないと、結局は形だけに囚われてしまう気がします。スウェーデン教育に関するビデオを見ていると、この国では、どんな環境でどんな教え方をすることが子供にとってベストかということを真剣に考えた上で教育をしているように感じるのです。日本の将来を担う子供に投資するお金をうまいこと節約しようとか、幼保一本化して制度自体を効率良くしようとか、そもそも焦点がブレてるし、根本的に間違っているような。
年明けの民主党の動きに注目してみます。