2012/01/15

ゲリラ的PR戦略を得意とするスウェーデンの広告エージェンシー。彼らの考える政治の盛り上げ方とは?

写真の女性は校長

「セックスを教えてくれる世界初の学校が2011年冬、オーストリアにオープン!本校は、理論を学ぶことよりも、実習に力を入れています。あなたがより魅力的な恋人になるためのセックステクニックを学んでみませんか?」


…なんてニュースがあったら、あなたは信じます?どうやら、世界中のメディアは、まんまと騙されてしまったようですよ。学校側は学費なども明記した手の込んだホームページを作り、本格的な記者会見まで開いちゃったんですから。

このイタズラ企画の首謀者は、ゲリラ的なPR戦略を得意とするスウェーデンの広告エージェンシー、Studio Total。そして企画の依頼者は、オーストリアの商工会青年部。彼らは、自国が抱える教育問題、出生率問題、年金問題などに人々の関心を集めたかったとのこと。予定よりも1ヶ月早くバレてしまったので、キャンペーンは中途半端に終わってしまったようです。このセックス学校で年金問題に突っ込む際は、「年金の資金を確保するためにもっと子供を生むべきだ!」と冗談交じりに訴える予定だったそうです。



それでは次にオーストリアからスウェーデンに移動し、Studio Totalの本拠地で実施されたイタズラ企画についてもご紹介しようと思います。
まず一つ目の企画。クライアントは、スウェーデン国立劇場(Riksteatern)。2005年当時、彼らは国の公的資金援助を必要としていました。

「文化の重要性を政治家に訴えるにはどうすればいいか?」

そこでStudio Totalは、有名な作家や俳優、音楽家などの協力を得て、「文化党 The Cultural Party」なるものを作っちゃったんです。文化事業にもっと投資をして!というのがこの政党の訴え。なんと新聞でも真面目に取り上げられ、世論調査の結果、文化政党に投票するという人が
12%も現れてしまいました!



続いて、二つ目の企画。クライアントは、男女平等社会を訴えるフェミニスト党。2010年国政選挙時に、


「男女間の賃金格差をなんとか社会に訴えたい!」

そこでStudio Totalがフェミニスト党に取ってもらったアクションとは、抗議として10万クローナ(約100万円)を燃やすこと!スウェーデンの女性は、
男性との賃金差のため毎分10万クローナの損をしていることから、この金額になったそうです。このパフォーマンスは、一週間で1000本以上もの記事になり、日本のバラエティ番組でも取り上げられたとのこと。結果、前回の総選挙よりも投票数20%増、4ヶ月間で党員数40%増


写真の女性はフェミニスト党の党首

スウェーデン人は政治に対する関心が高い(2010年国政選挙の投票率は84%!)からこそ盛り上がれる施策のような気もします。2014年の選挙はどんな話題を提供してくれるのでしょうか?こういった楽しみが日本の選挙にもあると、嬉しいのですが…日本の政治は今それどころじゃないですね…。