私は大学院でメディア文化研究を専攻しているのですが、この学問のことを個人的な理解で軽く整理した上で、文化産業の勢力図が今後どのように塗り替えられていくのか、というようなことに少し触れてみようと思います。
まず「メディア文化研究とは?」といった部分ですが、以下の三つのカテゴリーに分けて考えることができます(色んな考え方がある中のほんの一例です):
プロデューサー ・ コンテンツ ・ オーディエンス
まずプロデューサーとは、メッセージ発信者のこと。例えば…どのような権力構造の中で、どのような意図を持って、送り手は情報を発信するのか、というようなことに注目します。
続いてコンテンツとは、メッセージの中身のこと。例えば…メッセージの中には、どのような記号が含まれていて、どのような社会的背景が読み取れるか、というようなことに注目します。
最後にオーディエンスとは、メッセージ消費者のこと。例えば…どのような受容環境の中で、どのような社会的立場から、受け手は情報を消費するのか、というようなことに注目します。
以上の三つの視点で整理されているのが、メディア文化研究です。しかし、あくまでも「視点」なので、当然のことながらプロデューサー「だけ」とか、コンテンツ「だけ」、を研究するのは不可能で、どれか一つに軸を置いたとしても、他の二つを完全に無視することはできません。この三つの要素は相互作用し、複雑に絡まり合っているのが現状です。
続いてコンテンツとは、メッセージの中身のこと。例えば…メッセージの中には、どのような記号が含まれていて、どのような社会的背景が読み取れるか、というようなことに注目します。
最後にオーディエンスとは、メッセージ消費者のこと。例えば…どのような受容環境の中で、どのような社会的立場から、受け手は情報を消費するのか、というようなことに注目します。
以上の三つの視点で整理されているのが、メディア文化研究です。しかし、あくまでも「視点」なので、当然のことながらプロデューサー「だけ」とか、コンテンツ「だけ」、を研究するのは不可能で、どれか一つに軸を置いたとしても、他の二つを完全に無視することはできません。この三つの要素は相互作用し、複雑に絡まり合っているのが現状です。
ただし現代のメディア環境を見てみると、プロデューサーとオーディエンスの役割分担がとても曖昧な状況です。プロデューサーは情報を発信する「だけ」の存在ではなくなり、時にはオーディエンスの知恵を借りてメッセージ作りをしたり。オーディエンスも情報を受信する「だけ」の存在ではなくなり、時には自らプロデューサー的な存在になってメディアを動かしたり。
私たちが今暮らしているこのようなメディア環境のことを、アメリカのメディア学者であるヘンリー・ジェンキンス氏は:
Convergence Culture
まず前者について。メディア企業によるコンテンツ作りは必ずしもメディアありきの発想ではなくなっており、
続いて後者について。技術発展のおかげで、企業だけでなく消費者である私たちも低コストでコンテンツを自ら作り、拡散できるようになりました。ジェンキンス氏はスターウォーズのファンカルチャーを取り上げ、現代のウェブ環境ではアマチュアの映像作品でも容易に流通させることができ、新たなカルチャー作りにファンが積極的に貢献することができるようになったことを指摘しています。これはプロフェッショナルとアマチュアの境界線を明確に線引きするのが難しくなっていることも象徴しています。
ジェンキンス氏の著作であるConvergence Culture: Where Old and New Media Collideは2006年に出版されましたが、
付け加えるならば、
今まで何十年もの間文化産業のビッグプレイヤーとして君臨していたプロデューサーらは、この新しいプレイヤーたちの活躍によって自分たちの存在が脅かされている、という危機感を抱いていたりするのではないでしょうか。
パッと思い浮かぶ新しいプレイヤーの例は、スウェーデン繋がりということでやはりSpotifyです。欧米で人気を誇る音楽ストリーミングサービスのSpotifyは、オーディエンスの(潜在的な)ニーズに応える形で、違法ダウンロードよりも手軽に音楽にアクセスできるようにしたり、Facebookと連携して友人間で音楽をシェアすることを可能にしたり、スマートフォンアプリでは好きな時に好きな場所で好きな曲を聴けるようにしたりと、新たな音楽体験を私たちに提供してくれています。もちろん、プロデューサーである大手レコード会社等の協力無しには実現し得ないサービスではありますが、いずれにしても今までの音楽業界におけるプロデューサーとオーディエンスの緊張関係(特に違法ダウンロードに関して)に、風穴を開けようとしている事実は、大変重要です。
更にもう一つ新しいプレイヤーを挙げるとすると、自由報道協会について述べておきたいところです。元フリージャーナリストの上杉隆が代表を務める自由報道協会とは、
老舗の大手メディア企業が、既得権益を守ることばかりを考えて消費
しかし、彼らが変革を恐れて現状維持ばかり気にしている余裕はもう無いと思います。プロデューサーとオーディエンスの間に生まれている新しいプレ