2011/10/18

リクルーターがLinkedInよりもFacebookを好む7つの理由。

ソーシャルメディアを活用したソーシャルリクルーティングが日本でも注目を浴びるようになりました。
日本での浸透レベルは欧米諸国と比べるとまだまだですが、よく名が挙がるのは、
プロフェッショナル/ビジネスネットワークを築くためのLinkedInと、
友人や家族、同僚なども含めたより親密度の高いネットワークを築くためのFacebook

ならばリクルーター(採用担当者)が活用するのはFacebookよりもLinkedInなのか?

実は必ずしもそうではないということが、オンラインリクルーティングに特化した
リサーチラボであるスウェーデン企業Potentialparkの調査でわかりました。
(元ネタはMashableのコチラの記事です)


確かに上級管理職などの立場の人をリクルートする時にはLinkedInは最適かもしれません。
しかし学生や若い社会人と接触し、コミュニケーションを取る手段としてはリクルーターはFacebookを好むそうです。

Potentialparkは、主に学生を中心とした世界中の若者3万人以上が回答した就職活動に関する
アンケート調査の結果をもとに、アメリカ・ヨーロッパ・アジアにある500社以上の企業の
オンラインリクルーティング活動に関する分析を行いました。

そこでヨーロッパの学生の集計結果を見ると、48%がLinkedInでリクルーターと繋がりたいと
回答したのに対し、Facebookで繋がりたい回答者の割合は全体の25%でした。
Facebookに対して控えめな理由は何か、という問いに関しては、
「リクルーターと接するのに相応しい場所ではない」
「プライベートな情報をシェアすることに不安を感じる」
と回答した人が大多数でした。

しかしこの調査結果とは裏腹に、ヨーロッパのトップ企業100社のうち3分の1以上が
実は採用活動目的でFacebookを利用しており、多くが1000人以上のファンを持っているとのこと。

学生はFacebookでリクルーターと接することに躊躇する、という調査結果が出ているにも関わらず、
なぜ企業側はFacebookにこだわるのでしょうか?

Potentialparkは人事担当者数名にインタビューを行い、若者と接触する際にFacebookを
積極的に活用する理由・動機を探りました。
そこで、LinkedInと比較した場合の主な理由が以下の7つです:


①インタラクティブであるため
LinkedInでのリクルーティング・コミュニケーションはどちらかというと一方通行。
リクルーターが積極的に人材を探し、メッセージを送信するという流れ。
しかしFacebookページでは面白いコンテンツを載せれば、コメントが付いたり、
ディスカッションに発展したり、あるいはよりパーソナルな対話も可能になる。


②学生らがアクティブな場であるため
学生や若い社会人はLinkedInのプロフィールをあまり更新しないが、
Facebookは頻繁に利用しているのではないか。
ならば彼らが普段いる場で繋がろうとすることが、より合理的である。


③無料であるため
ビデオなり写真なり、どんなコンテンツをアップロードしようと、すべて無料。
より魅力的な企業としてアピールするための様々なツールや機能が揃っている。


④より大きなネットワークであるため
LinkedInの1億2千万人のユーザー数に比べ、Facebookは8億人のユーザー数がいて、
より大きなオーディエンスが存在する。


⑤よりオープンであるため
Facebookはすべてのユーザーが無料で利用でき、LinkedInのように一部の機能を
利用するためにはプレミアムへアップグレードする必要がある、といった制約も無い。
よってLinkedInよりもオープンなネットワークである。


⑥「いいね!」ボタンの存在
企業ホームページ上の採用情報ページとソーシャルメディアを連携させたい場合、
Facebookのフィードや「いいね!」ボタンのほうが設置が簡単である。


⑦ブランディングに有利
ネットワーク作り・候補者のスクリーニング・リクルーティングに関しては、
LinkedInなどのビジネスネットワークが活用しやすい。
だが、エンプロイヤーブランディング活動を行なう場合、
あるいは学生や若い社会人などとコミュニケーションを取りたい場合、
多くのリクルーターはFacebookを好む。


以上のことから、企業が若い人材にアピールしたりコミュニケーションを取りたい場合は、
まずFacebookを積極的に活用し、プレゼンスを高めることから始めるのも手かもしれません。

しかし気になるのは、そもそもユーザー側がFacebookでのリクルーターとの接触に消極的であること。
そこの溝を、ユーザーに嫌がられることなく、いかに埋めることができるか?
というのがFacebookを利用する際のリクルーターの大きな課題でしょう。

上記の調査結果はあくまでもヨーロッパのものなので、果たして日本ではどうなんでしょう?

私がFacebookを始めたのは2005年でアメリカに住んでいた頃ですが、当時は企業の存在など
欠片もなく(少なくとも記憶には無い)、純粋に友人同士で交流する場として機能していました。
また、実名で発言することに関しても、意識をしたことは一度も無かったと思います。
しかし日本における昨年秋以降のFacebookブームでは、映画「ソーシャル・ネットワーク」から始まり、
Facebook関連書籍が山ほど出版され、一般ユーザー数が増えていくと同時に一部の企業も積極的に
マーケティング・ブランディング・リクルーティング目的等でこのメディアを活用するようになりました。

このように、Facebookの流行り方と企業参入の勢いというのが日本と欧米とでは若干違うように感じるので、
果たして学生を中心とする若い日本人はFacebook上でリクルーターと接することに対して
どのように感じているのでしょうか?
どれだけ意識しているのでしょうか?

非常に気になるところです。