SFF#6: NEDS
Director:
Peter Mullan
Cast:
Conor McCarron
【予告編】
Nedとは?:
まずNedの説明から入りたいと思います。
Nedというのはざっくり言うと、スコットランドで反社会的な態度を取る若者のことを指すようです。(Wiki情報ですが)具体的に説明すると、Nedのステレオタイプはこんな感じ:
・白人の若者(主に男性)
・労働者階級
・偽物ブランドを着る(ラコステやアディダスなど)
・ゴールドのアクセサリーを身に付ける
・喧嘩っ早い
・小規模な犯罪行為を繰り返す
・未成年だが飲酒や喫煙は当たり前
などなど…。
また、元々はNedという一つの単語でしたが、その名が世に知れ渡るにつれ、逆アクロニムといって省略形ありきでつくられた頭字語が登場します:
Non
Educated
Delinquents
要は、まともな教育を受けていない(というか受けたがらない)非行少年のこと。
粗筋:
この映画は、70年代のグラスゴー(スコットランド最大の都市)が舞台で、監督&脚本を努めたPeter Mullanが育った街。
地元の中学校を卒業した主人公のジョンは、非常に優秀で将来に希望が持てる子だった。しかし彼はアル中の父親とNedな高校生の兄に悩まされていた。ジョンは高校にあがっても中学の頃と同様に優秀な成績を保ち、兄を反面教師にしていた。しかし兄と同じ学校に通っているため、彼とつるむ生徒や彼のことを恐れる生徒などと接していくうちに、そんな兄の影響をどうしても避けられなくなり、遂にはジョンもNedの一人となってしまう。
感想:
まず、Scottish Englishの聞きづらさにビックリ。もしかしたらNed Englishなのかもしれないけど、セリフの20%くらいしか理解できませんでした。幸い字幕があったので助かりましたが…。(そういえば、本当にどうでもいいですが…10年以上前にとんねるずの石橋貴明が出たメジャーリーグの話のハリウッド映画で、石橋は英語を喋ってるのに全く聞き取れないがために英語の字幕が付けられていたことをふと思い出しました。)
英語の問題はさておき…。
このジョンという主人公なんですが、見た目ダサいんですよ。ステレオタイプとして、成績優秀な子って大体かっこ良くないですよね。まさしくそんな感じの子で、ちょっとポッチャリしてて穏やかで、すぐいじめられそうな子です。そんな子が、周囲の圧力によってNedに変わっていくわけですが、その変化っぷりにはほんと驚かされました。
一度その一線を越えると、周囲からはNedとしてのレッテルが貼られるわけで、そう簡単に元に戻ることはできない。そんなリスクを犯してまでNedになりたいの?と彼らに問い質してみたくなるのですが、恐らくこれは個人の問題ではなく、周囲の圧力の問題。人って、属しているグループや社会、あるいは家族に多かれ少なかれ影響を受けて、しかもそれに逆らうことが難しい状況に陥りやすいのかな。特に、高校生という多感な年頃だと尚更なのかもしれない。けど逆に、Ned=Coolみたいなイメージに誘惑されて自らその道を選ぶこともあるんだろうな。うーん、人間の心理って難しい。
決してスッキリする映画ではありません。最後のシーンはサファリパーク…というある意味絶望的に見えて、けどなんとなく希望の光も見えるような…ちょっと考えさせられる終わり方です。
ユーモア含め、私は結構気に入りました。