新聞業界最大のタブーともいわれる『押し紙』問題に関する告発記事を、ジャーナリストの黒薮哲哉氏が週刊新潮に掲載したところ、読売新聞が黒藪氏と新潮社を相手取り、裁判を起こしました。その裁判の判決が出るのに合わせ、自由報道協会主催による黒薮氏の記者会見が生中継で行われました。
興味深い内容だったので、メモ的にポイントを書き留めておきます。
押し紙とは何か:
実売部数を超えた新聞を新聞社が販売店に一方的に送りつけて買い取らせる新聞。紙面広告の媒体価値を決めるのはABC(新聞雑誌部数交査機構)の発表する部数であるため、時には販売店に補助金を出してまで無駄な新聞を買い取らせることも。
記事の内容:
読売新聞の販売店関係者が作った滋賀県の会社が、各新聞社の新聞が実際にどの家庭に配られたかの大掛かりな調査をした。その集計結果を黒薮氏が入手したが、押し紙率を計算したところ他紙と比べて読売だけ有利な数字が出たため、その点を疑った。また、押し紙によってどれだけ不正な利益を得ているのかも計算し、4社平均1年間で360億という数字も記事に載せた。
裁判の内容:
上記2点に対して、黒薮氏は読売新聞より名誉毀損で訴えられた。結果は、調査自体杜撰な物と判断された等の理由で、読売側の完全勝利。黒薮氏の訴え全く認められず。
記者会見にて印象に残った黒薮氏の訴え:
・言論に対しては堂々と言論で反論して欲しかった。
・ものを書いてる者としてのプライドがあれば言論の場で主張すべき。
・読売は司法の土壌に乗せてきたが、私はメディアの土壌に乗せていく。
・この一連の裁判が言論妨害である。
・ものを書いてる者としてのプライドがあれば言論の場で主張すべき。
・読売は司法の土壌に乗せてきたが、私はメディアの土壌に乗せていく。
・この一連の裁判が言論妨害である。
ちなみにもう一つの新聞業界タブー『再販制度』とは:
どの販売店も新聞を同じ値段で売らなければならない制度。独占禁止法に触れるが、例外として認められている。自由競争をさせることで力をつけ、更に結束されては困るので、販売店をコントロールするために営業区域を限定し、値段を一方的に決めている。
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押し紙問題については前から知っていたけれども、こんな裁判沙汰になっていたとは知らず。
黒薮氏の「言論には言論で反論を」というのはごもっともな話だと思います。まぁ「押し紙」という言葉を新聞に載せられるわけがありませんが…。
黒薮氏の「言論には言論で反論を」というのはごもっともな話だと思います。まぁ「押し紙」という言葉を新聞に載せられるわけがありませんが…。
しかし再販制度も含めたこういうタブーがあるからこそ、なんとか紙の新聞は生き延びているのでしょうね。それにしても、今回の3.11報道に始まったことではありませんが、ジャーナリズム精神そのものに対する疑いを持ってしまう今日この頃(フリージャーナリスト上杉氏は、元々日本にはジャーナリズム機関がないと言い切ってましたが)…。
どうにかして欲しいと思いつつも、まぁ今はジャーナリズムの選択肢が大手メディアに限られているわけではないし、アルタナティブを自分の中にいかに取り込んでいくかをしっかりと考えていかなきゃなと思わされた次第です。