2010/09/15

ヒロシマガールズとはだしのゲン



昨夜、Army Museumに行きました。
ちょうど今NO MORE WARSという特別展示で広島と長崎の原爆被害の紹介をしています。
そしてその一環として、昨夜は広島の被爆者である笹森恵子さんの講演&「はだしのゲン」の上映会がありました。
まさかストックホルムでこんな体験ができるとは思ってもいなかったのですが…。
せっかくなのでこの日を忘れないためにもブログを書きます。


笹森さんは英語で講演をされました。
被爆体験を世界中の人々に伝えるために英語を学んだのかなぁと勝手に想像していたのですが、名前を検索してみたところ、笹森さんは1955年にヒロシマ・ガールズとして治療渡米をしたとのことでした。あまり知られていないようですが、ヒロシマ・ガールズというのは終戦後にアメリカのある団体の寄付金によって、治療のためにアメリカに呼ばれた25名の少女たちのことだそうです。
笹森さんは1958年に再渡米し、治療の恩返しとして看護師になったとのこと。

笹森さんのお話で一番印象に残っているのは、広島が人類史上初めて原爆の被害を受けた地であるため、人間が被爆した場合の症状に関する参考情報がないということ。
そして、自分の子供や孫にももしかすると今後何らかの症状が現れるかもしれないということ。
想像しただけでも恐ろしい。
また、戦争を引き起こすのは自然ではなく人間なんだ、だから私たち一人ひとりに責任がある。どんな人間の命も尊いんだ、とも仰っていました。
当たり前のことなのに、それを当たり前だと思っていない人もこの世には沢山いるんだよなぁ。

ちなみに今年の広島平和記念式典に出席された際は、「米国では『原爆がなければ戦争が長引き、もっと多くの命が奪われた』との考えが根強かったが、オバマ大統領が『核なき世界』を掲げて以来、状況が変わってきた。米国代表が原爆の犠牲者を悼む場に来た今日は、核廃絶への門がさらに大きく開かれた日だ」と読売新聞に語っていたそうです。

笹森さんはアメブロツイッターをやっているのでよろしければどうぞ。


そして講演後は、『はだしのゲン』の上映会。
初めて見たかも。しかもスウェーデン語訳付き。勉強にもなりました。
とにかく印象的だったのは、失礼ですが兄弟の声優が棒読みなところ!
原爆が落ちるまでのシーンは兄弟のおバカなやり取りがものすごく沢山あって、その上に棒読みだったせいか、特に笑いを取っているわけではないはずなのに、会場全体を何回か爆笑の渦に巻き込んでいました。
笑いは言語を超えますね。

まぁそのあたりはさておき、原爆が落ちた瞬間のシーンは非常に衝撃的でした。
人の目玉が飛び出したり、肌が溶けていたり、無数のガラスの破片が体に突き刺さったり。
まさかこれは大袈裟だろう…と思っていたのですが、上映会の後にNO MORE WARSの特別展示を見に行ったら、映画の内容を実証するかのように被害者の写真が展示されていました。
同じ人間の仕業とは思えない。
うーん。自分には何ができるのだろう…。

まずは、広島と長崎に行ってみよう。


最後に、アメリカの社会学者であるLouis Wirth氏が1948年に発行したConsensus and Mass Communicationという論文の中の文章を紹介します(読んでいたらたまたま遭遇):

The atomic bomb will not, as we are told, yield to a physical defense or a counter-weapon which will neutralize its destructive potential. The only defense we have is social - the creation of world consensus.