2010/09/24

We MUST save the world by consumption.




昨日、Ralph Naderの講演を聞いてきました。
まずはウィキペディアから彼の紹介を:

長年環境問題、消費者の権利保護問題や民主化問題に携わっている。近年のアメリカの対外政策は帝国主義的で、大企業への利益誘導を行っており、民主主義の根本と人道に反しているとして批判をしている。大企業の持つ力にも批判的である。 

私自身、彼のことを知ったのは一昨日でした。
時間はあるし、講演のテーマ( ”Can we save the world by consumption? Young consumers as a change factor” -消費によって世界を救うことができるか?若い消費者を変化の要因に…って直訳でごめんなさい)も面白そうだったので参加してみようかなぁという気楽な気持ちで会場入りしたら、キャパ700のホールがほぼ埋まってました!ビジネス専門学校の生徒や、環境科学専攻の生徒が大半を占めていたようです。
1時間半の講演でしたが、eye-openingな内容満載!上に抜粋した紹介文が彼の講演内容のほぼ全てを物語っていました。


彼の講演は、「24歳以下の人はこの会場に何人いますか?」という質問から始まりました。講演タイトルにもある通り、彼のターゲットは若い消費者です。自分たちの消費活動は社会の動きとどう結び付いているのか、また、これから社会に出る身として、自分たちの役割をどう位置づけたいか、というようなことを考えさせ、アクションを起こさせたいという意図があったんだと思います。
講演の流れを3点にまとめてみました:

①アメリカとスウェーデンの決定的な違い

②国の健康状況はGDPで測れるのか

③犯罪的資本主義を抑え込むために消費者意識を高めよう
 



まず①。
アメリカとスウェーデンの決定的な違いというのは、様々な政策における国民及び消費者目線の有無。当然のことながら、「有」はスウェーデンであり、「無」はアメリカである。

事実1: 国内の貧困を無くし、福祉政策が充実しているスウェーデンと違い、アメリカでは未だに5000万人が貧しさと戦っていて、尚且つ健康保険が無いことで毎週800人の命が奪われている。

事実2:
スウェーデンには、約100年前に消費者の権利保護のために戦った人物がいた。その人物とは、消費者協同組合運動の先駆者となったAlbin Johansson。(そこでNaderは、この人物を知ってる人はどれだけいるか、と問いかけたところ手を上げたのはたったの5人程度でした。)企業による市場独占やカルテルに反対し、企業に頼らないために自ら工場を立ち上げた結果、カルテルが崩れ、企業と消費者の力関係を逆転させることに成功した。その関係は今も継承されている。

事実3:
1960年代、アメリカの自動車メーカーであるGMはシートベルトなどの安全装置そのものが危険性を孕んでいると主張し、装置の導入に抵抗していた。一方でスウェーデンのVOLVOは1959年に3点式シートベルトを発明し、特許を取得した。また、安全に必要な技術ということで無償で全メーカーに公開した。


続いて②。
国の健康状況を測る指標としてGDPは本当に適切なのかどうかについて。
今アメリカでは、車にバンパー(緩衝装置)が付いていないのが普通である。その結果事故が起きやすくなる。するとどうなるか?
保険会社、修理屋、病院、薬局、葬儀屋などの企業や産業が潤い、職も増える。結果、経済は安定し、GDPが伸びる。
果たしてこんな経済を健康だと呼ぶことができるのだろうか。
私たちは強制的消費をどれだけしているのだろう。 


最後に③。
犯罪的資本主義を抑え込むために消費者意識を高めることについて。
利益だけを優先し、底辺で働く労働者や消費者、そして環境問題を第一に考えないような大企業に私たちは決して屈してはならない。必要とあらば不買運動を起こし、政治家も巻き込み、規制活動を行うべきである。
あなたは、買うか買わないかの選択権を持っているんだ。


そして最後に彼は、「freedom」と「knowledge」に関する二つの格言を紹介して、講演を終えました。私にはかなりグサッときた言葉。

Freedom is participation in power.
-共和制ローマ期の哲学者 キケロ


To know and not to do is not to know.
-明代の思想家 王陽明


アメリカの政府や大企業の行いに対して終始批判的な態度を見せたNaderでしたが、
彼らが変わろうとしないなら、消費者が変わるべきだ。そして若者は、社会がどうあって欲しいかのビジョンを明確にし、自分の役割を探し求めるべきだ。というようなメッセージが私には伝わってきました。

Freedom is participation in power. 
To know and not to do is not to know.
私にはfreedomがあるし、knowledgeを身につけるチャンスも与えられている。
それをどう生かすべきか。
わかりません!
けど必ず答えを見つけます。