2011/07/26

ムーミンワールドと東京ディズニーランドを無理矢理比較してみた。

今日はちょっとスウェーデンから離れて、お隣りの国フィンランドにある
ムーミンワールドの紹介をしたいと思います。

まず、ムーミンシリーズ著者のトーヴェ・ヤンソンは、
フィンランド出身だということをご存知でしたでしょうか。
彼女はヘルシンキで生まれたスウェーデン系フィンランド人です。


写真:wikipediaより

そして実はフィンランドの西海岸にあるナーンタリという町には、
小さな島をまるごと使ってムーミンの世界を再現したテーマパークがあるんです。

先日母と祖母が北欧に遊びに来たのですが、
母は子供の頃からムーミンが好きで、
どうしてもということでその田舎町まで行ってきました。


まずは写真でご紹介(母撮影):

子供向けのテーマパークだろうな、とは思っていたのですが、
ベビーカーで入園する客の多さには少しビックリ。

乗り物などは一切無く、ステージショーを楽しんだり、
ムーミンの家で遊んだり、キャラクターたちと戯れたり、
ビーチで遊んだり、という非常にのんびりできる環境でした。

母と祖母は、東京ディズニーランドをイメージしていたため、
そのギャップに少々驚いていたのですが…。

そこで、ムーミンワールドをもう少し詳しく紹介するにあたって
東京ディズニーランド(以下TDL)と比較してみたいと思います。

開園から28年経っていながらも、未だに高い人気を誇るTDL。
色々と特徴はありますが、その中でも今回取り上げたいのはこの2つ:

① 夢の国を再現するために忠実に創り上げた非日常的な空間

② 徹底したクルー教育によるフレンドリーな接客の実践

個人的な意見ですが、良い意味でも悪い意味でも、
ムーミンワールドにはTDLのこの2つの特徴が、
全く当てはまらない、と思っています。


まず①の「非日常的な空間」について。

ムーミンワールドではムーミンの世界を再現しようとしていることは確かですが、
非日常的な要素は全くありません。
むしろフィンランドらしさを全面に押し出した作りになっています。

そもそもムーミンが生まれた背景には、
国土の60%が森林、20%が湖沼であるフィンランドの自然環境があります。
ムーミンは見た目がカバにそっくりですが、
実は森に住むトロールという妖精のような生き物なのです。

だからこそ、森林に包まれた小さな島にあるムーミンワールドは、
いかにもフィンランドらしい空間だったんです。

TDLには、客が現実社会に引き戻されないための工夫の一つとして、
園内からは決して高速道路や高層ビルなど外の環境が見えないような作りになっています。
(物理的に遮断できても携帯があればすぐに外に繋がってしまうのですが、それはさておき)

しかしムーミンワールドにはそのような配慮は一切なく、というかむしろ必要なく、
ムーミンの世界がいかにフィンランドのリアルな自然環境と一体化しているか
というのを感じさせられます。


続いて②のホスピタリティについて。

この点は、はっきり言ってTDLのレベルには全く及びません。

そもそもムーミンワールドは夏期限定オープンのテーマパークであるため、
6〜8月しか営業していません。
そのため、主に働いているスタッフは、夏休みを利用してお小遣いを貯めよう、
という若者ばかりのようです。
(ちなみにフィンランドで日本の家庭料理屋を経営している方から直接聞いた話ですが、
スナフキン役を担当する若者は毎年変わるため、年によってハンサム度が異なるそうです。
今年は当たりだったかもしれません。ご判断を!)



全体的に、そこまでスタッフ教育が徹底されている印象は無く、
フレンドリーさもあまり見受けられず…。
ホスピタリティにはあまり力を入れていないようでした。

とにかくTDLと比較すると、良い意味でも悪い意味でも本当に緩いテーマパークです。ちなみに、ムーミンの権利を持っているヤンソン一家は、
行き過ぎた商業化を避けるためにディズニーとの契約は断っているそうです。
また、以前はグッズさえも作られていなかった
とか。

そういう意味では、空間作りであれホスピタリティであれ、
TDLと全然異なった印象を受けるのは必然的なのかもしれません。 


…ということで、結局ムーミンワールドを薦めたいのかどうなのか
わからない文章になってしまいましたが…。

でも、フィンランドの中でもちょっと辺鄙なところにあるテーマパークで、
そこを訪れたことはかなりレアな体験だったんじゃないかなと思ったので、
TDLとの比較を用いて紹介してみました。

しかしムーミンって日本でもかなり人気なんですね。
なんとムーミンワールド内にあるムーミンの家で、結婚式を挙げた日本人までいるそうです。

更に、日本でアニメ化されたムーミンについて興味深い事実をウィキペディアで発見
ご興味ある方はぜひ、下記の抜粋箇所を読んでみてください。

初期のアニメ作品(1969年(昭和44年)版・1972年(昭和47年)版)は、キャラクターデザインがヤンソン自身の挿絵とは(顔や指の本数などの点で)異なることから、ヤンソンからは難色が示された。このため、日本のスタッフが放送開始当初のデザインを原作に近い状態に変えて放送を試みたが、視聴者からキャラクターが怖いという意見が出たため、日本国内でのみ放送すると言う条件で、独自のキャラクターデザインに戻された。

1990年(平成2年)に日本で改めてアニメ化された『楽しいムーミン一家』シリーズでは、ヤンソン自身が制作に関わったことで、原作の設定や世界観が反映されるようになり、またキャラクターデザインも原作にほぼ準ずる形で作成された。本作品はフィンランドのテレビでも繰り返し放映され、ムーミンブームを世界中で巻き起こす起爆剤となった。この人気で各種のキャラクターグッズが作られ、テーマパークの「ムーミン・ワールド」がフィンランドに作られた。


参考サイト:
ムーミンワールドHP
wikipedia - ムーミン
wikipedia - トーベ・ヤンソン