2010/12/28

SFF#11: Caterpillar



監督:若松孝二
出演:寺島しのぶ、大西信満
予告編


粗筋:
第二次世界大戦中の日本。戦場から無事帰還したものの、四肢を失った夫・久蔵の姿を見て驚愕するシゲ子。しかし、久蔵は多くの勲章を得たことから町の住民には「生きる軍神様」として崇められ、苦悩しながらも彼の食欲と性欲を満たすためにシゲ子は身を削る。
寺島しのぶはシゲ子役で第60回ベルリン国際映画祭最優秀女優賞を獲得。


感想:戦場シーンはほとんど無く、9割は家の中での撮影。にもかかわらず、戦争の残酷さや虚しさ、そして意義などを改めて考えさせられる映画。賞を取ったということで寺島しのぶにスポットライトが当てられていたけど、夫役の大西信満も見事な演技力。四肢を失い、顔には火傷の後が残り、喉を痛めていて喋ることすらできない。そんな姿でも近所の人には「生きる軍神様」と崇められるが、家に帰ると一人じゃ何も出来ない役立たず。戦争の残酷さを彼が見事に体現してくれた気がする。

今回その大西信満氏がストックホルムを訪れた。Q&Aセッションがあり、邦画マニア(歴史モノ限定?)の映画批評家が久蔵の持っている刀は日中戦争時のものではなく、日露戦争時のものじゃないか」なんていう指摘をしていたが、その空気の読まなさ加減が面白かった。大西氏の答えは、「監督は詳細にはこだわらなかった。映画はあくまでも戦争の醜さを伝えようとしていた」とのこと。ちなみに監督の若松孝二はピンク映画で有名な方なんですね。どうりで…というシーンが盛り沢山です。