Director: Lucy WalkerStar: Vik Muniz
【予告編】
粗筋:ブラジルのリオ・デ・ジャネイロには、一日に引き取るゴミの量が世界一と言われている広大なゴミの埋め立て地兼廃棄場、Jardim Gramachoがある。そこでは3000人近くの人が働き、ゴミ山の中でリサイクルできるものとそうでないものの分別作業を行っている。その分別したゴミをリサイクル業者に売ることで、彼らの生計は成り立っている。
そんな劣悪な環境の中で働く人々に目をつけた、一人のブラジル人アーティストがいた。彼の名はVik Muniz。当時彼は、欧米のアート業界では著名だったものの、ブラジルではほぼ無名だった。彼はJardim Gramachoを訪れると、まずその規模の大きさに圧倒されるが、それよりも働く人々が生き生きとしていることに驚いた。しかし一人ひとり話を聞いていくと、それぞれが複雑な想いを抱えて仕事をしていることを知り、また決してゴミ山で一生働き続けることを望んでいるわけではなかった。
そんな彼らに焦点を当て、彼らの多大な協力を得ながらゴミで肖像画を作るプロジェクトを開始。このアートプロジェクトは彼らの人生を劇的に変えることになり、また今までJardim Gramachoの現状について無知だったブラジル人及び世界中の人々に大きな影響を与えた。
感想:とにかく感動!!
Countdown to Zeroという核問題を取り上げたドキュメンタリーの監督でもあるLucy Walkerの作品。あまりにも両極端すぎるこの二つの作品の撮影・編集を同時期に進めていたというから、感心する。ちなみに今作品はストックホルム国際映画祭で観客賞を受賞。Q&Aセッションで監督本人に会うことができたが、とても熱い人だった。そしてWaste Landにかける熱意も半端ないことが伝わってきた。
アーティストのVik MunizがJardim Gramachoで働く人々と信頼関係を築いていく過程がしっかりと描かれていて、尚且つ「アートは社会を変える」という強いメッセージを感じ取ることができる作品。ハッピーエンドではあるものの、この映画を通して改めて考えさせられたのは、とっても根本的なことではあるけれども人間の無知・無関心さ、そして都合の悪いことには目を瞑ってしまうことかな、と。そこに潜んでいる問題をいかにして顕在化させるか、っていうのがどの国、どの地域、どの社会でも非常に重要なテーマなのかな。
Jardim Gramachoに関しては幸いなことにVik MunizとLucy Walkerが注目することで、世界中の人々がその埋立地の現状に目を向けることになった。こういった問題を顕在化するパワーはアートや音楽、そして映画やジャーナリズムにもあると思う。その中でもドキュメンタリー映画というのはその全てを組み合わせられるパワーを持っているので非常に面白い。これからも色々観てみよーっと。