Shanghai (2010)
Director:
Mikael Håfström
Actors:
John Cusack
Gong Li
Chow Yun-fat
Ken Watanabe
Rinko Kikuchi
粗筋:
舞台は1941年、唯一日本軍に乗っ取られていない中国の街、上海。
真珠湾攻撃が実行される数カ月前の出来事。
アメリカのスパイとして上海に送り込まれていたコナーが何者かによって殺された。犯人を捕らえるべく彼の同僚であり親友でもあったソームズ(キューザック)が上海へ飛び、捜査活動を始める。だがそのうち彼は政治的混乱に巻き込まれ、尚且つコナーが日本軍の真珠湾攻撃計画について独自捜査していたことも明らかになるが…。
感想:
日本では公開されたのでしょうか?「海外映画に日本人俳優といえばこの人!」という二人、渡辺謙と菊地凛子が出演しているので公開されないわけがないかと思いますが、私的にこの映画で注目すべきはゴン・リーです。日本軍寄りの中国人暴力団ボス(チョウ・ユンファ)の妻役を演じているのですが、父親が日本軍に殺されたという過去を抱えているため、夫の見えないところで反日レジスタンス活動を続けます。そんな彼女の葛藤や心情の変化、そして本音が言葉だけでなく細かな表情や仕草でも物凄く伝わってくるんです。そんでまた美しいお方ですしね…。
菊地凛子はほんとにちょい役だったのでコメントし辛いですが、渡辺謙は相変わらず素晴らしいですね。日本軍治安部隊のトップの役で、映画の冒頭で彼のストイックな一面が映りますが、後半で徐々にそのイメージが崩れていく様が見事に演じられてると思います。
政治的なテーマが背景にありつつも、ヒューマンドラマが色濃く描かれている作品です。
どんな立場の人間であろうと、どんな時代を生きていようと、一人ひとりの人間が身近な人にすら語ることのできない苦悩を抱えながら生きているんだ、という、ありきたりかもしれませんがそんなメッセージが込められている気がします。
映像に関してもフィルム・ノワールを意識してか、闇や陰、雨など色々な場面で閉塞感を上手く出しているように感じました。
なかなか見応えあります。
最後にちょっと面白かったので、ウィキペディアよりトリビアを二つ:
トリビア①
元々上海で撮影する予定だったが、撮影開始一週間前に映画が政治的に繊細なテーマを取り上げていることから中国政府よりNGが出た。そのため、急遽バンコクとロンドンで新たにセットを作り直すことに。
トリビア②
主人公の俳優候補としてジョニー・デップの名が上がっていたらしいが、ジョン・キューザックが自ら自己アピールを懸命に行った結果、その役を獲得できたらしい。