2010/12/18

SFF#7: Marwencol



Director: Jeff Malmberg

Star:Mark Hogancamp

予告編】オフィシャルHPより

粗筋:
5人組の男にバーでボコボコにされ、脳に障害が残った男性のドキュメンタリー。事件後、彼は後遺症で全ての記憶を失った。38歳にして歩き方、話し方、読み書き、何もかもゼロから学び直すことになったのである。そんな彼がある日、自宅の庭に1/6スケールのWWII時の架空の町、Marwencolを作り始める。フィギュアショップから兵隊やバービー人形を取り寄せ、彼自身や家族、友人など身近な人の名前を付けて物語を作り上げ、それを写真に収めていった。現実世界から離れた彼のその行動は、いつの間にかセラピーとして機能するようになっていた。その後、様々な人との出会いを通してニューヨークのアートギャラリーで写真展を開くことに。
映画は13個の賞を受賞。



感想:このドキュメンタリーを観てまず純粋に思ったことは、「どうやってこの男性と出会ったんだろう?」ということ…。しかもタイミング良く写真展が開催されるまでの流れが撮れている。ドキュメンタリーを撮るって、人との出会いやタイミング、そして運に物凄く左右されるんだろうなぁ。監督お疲れ様です。

しかし、このMarkという男性が記憶を全て失うほどの暴行を受けたというのはほんと酷い話。恐らくニュース記事にするとしたら、<同情したくなる可哀想な被害者>という印象しか読者に与えることはできないかもしれない。けどこのドキュメンタリーでは、決して彼を<同情したくなる可哀想な被害者>として描こうとはしていない。むしろ、彼のユーモア溢れる性格だったり、Marwencolの町作りや写真撮影をしている時の楽しげな表情だったり、時には加害者に対する怒りをフィギュアにぶつけたりと、彼の人間性をできるだけ誠実に映そうとしているなぁというのを感じた。Markはあるフィギュアに監督の名前を付けた。その行為が、二人の信頼関係を表しているようでなんかグッときてしまった。