Directors:
Duane Baughman, Johnny O’Hara
Stars:
Tariq Ali, Reza Aslan, Diana Aveni
【予告編】
粗筋:
“The Kennedys of Pakistan”と呼ばれるほど度重なる悲劇に見舞われてきたBhutto政治家一族。このドキュメンタリーでは、Benazir Bhuttoという人物に焦点が当てられている。現在最大の党であるパキスタン人民党(中道左派)を立ち上げたZulfikar Ali Bhuttoの長女であり、1988年にイスラム諸国初の女性首相となった。
父親の意向でハーバードやオックスフォードで教育を受け、男女平等や民主主義を唱えるようになり、自国へ戻り首相に就任すると貧しい国民に対して食や教育の機会を与え、あくまでも国民目線で様々な改革を実施していった。またBenazir自身は、女性として差別されることなく、いつでも男性と同じような扱いを受けることを望んでいた。
しかし、パキスタンはインドとの対立関係で軍部の力が強いため、就任して2年後に汚職の疑惑でクーデターが起き、解任。復帰はするものの、再度似たような疑惑で解任を迫られた。その後家族と共にドバイへと亡命したが、2007年に当時大統領のムシャラフとの合意に至り、9年ぶりに帰国。だが総選挙を2週間後に控えた12月27日、パキスタン人民党の集会後に暗殺され、帰らぬ人となった。
そんな彼女の壮絶な人生を振り返るドキュメンタリー。
感想:
“Democracy is the greatest revenge.”
「民主主義が最大の復讐である」
彼女のこの発言は、このドキュメンタリーの最大のメッセージかもしれない。
私はこのドキュメンタリーを観るまでBhutto一族の存在を全く知らず、「パキスタン」から連想される言葉は「カシミール地方」「核保有国」「ムシャラフ」…くらいで、「民主主義」という言葉との結びつきなんて一度も考えたことがなかった。…ということで、今まで見たことのない「パキスタン」の一面を学べたという意味で非常に有意義だった。
Benazir Bhuttoはパキスタンをこよなく愛していた人物。特に印象的だったシーンは、彼女が亡命先のドバイから9年ぶりにパキスタンに降り立った時に見せる涙。また自分の死が近づいていることを悟ったかのように、パキスタン人民党の集会へ出向く前に、まだ誕生日でもないのにプレゼントを渡されたと涙ぐみながら語る娘たち。そんな家族を大切に思いながらも、自分を犠牲にしてまで国の民主化のために最後まで戦った。Benazirのように、国の将来のことを真剣に考える政治家が日本の現政権にも一人くらいいると嬉しいが…。